五月の連休が明けましたが、体調の不調を訴えるヘルパーも出てきています。
私たちの業務は、利用者さまの要望と介護保険のルールとの間で悩まされ、ストレスにさらされる事も少なくありません。法令遵守はもちろんの事ですが、利用者さまの要望に沿ってもあげたい。でも法令に照らし合わせると禁止事項となるので出来ない。どうしたらいいんだろう……。
『介護職の人は、相手を思いやるあまり、自分の気持ちを後回しにしてしまいがちである』と言われます。
そんな時には、相手の事も大切にしながら自分が感じた事、考えた事を相手が受け止めやすいように伝える事が必要です。今回の職員研修会は、自分も相手も大切にする自己表現「アサーション(アサーティブな自己表現)」を学んでみました。
利用者さんからたまにある要望で例えば、
・来訪する家族の分も食事を作ってほしい。
・留守にするけど合鍵で入って掃除しておいてほしい。
・自分で出来る事を頼んでくる。
こんな時、どうやって相手に伝えますか?
アサーティブな伝え方は「み・かん・てい・いな」🍊で考えるんだそうです。
み : 見たこと、聞いたこと ・・ 自分の感情にとらわれず、事実、状況を客観的に。
かん : 感じたこと ・・ 自分の主観的な感情や考えを考えて意識して。
てい : 提案する ・・ 相手と自分の思い、状況を踏まえて、具体的な対応
を的を絞って提案。
いな : 否(いな)と断られたとき ・・ 提案を受け入れてくれるとは限らないので、別の
案、落とし所を考えておく。
・「み」見たこと、聞いたことを客観的に
起きた事実やその場の状況を、自分の感情を入れずに客観的に事実として表現。
例えば、訪問の終了間際に新しく頼み事をされた時。「訪問時間の終了が近い」「次の訪問
まで時間がない」「新しい依頼を行うには時間が足りない」などの事実を伝える。
・「かん」感じたことを率直に
自分の正直な気持ちや、相手の状況について共感できることなどを、「私は・・・と思っ
た」のような、「I(私)メッセージ」で伝える。ここでは相手を責めるような表現を避
け、感情的にならないよう心がけて。例えば、終了間際の頼み事には、「(私は)頼み事に
はできれば応えたい」「でも(私は)次の訪問があり遅れられない」「(私は)あなたにと
っては言いにくい頼み事だったのではと感じた」など。
・「てい」双方の思いを踏まえて提案
自分と相手の思いやその場の状況を踏まえて、自分にできる対応について的を絞って提案。
例えば終了間際の頼み事には、「時間内にできることだけやる」「次回の訪問時に最初にや
る」など。
・「いな」否と言われた時の別案を用意
相手が提案を受け入れてくれればよいですが、受け入れてくれない場合に備えて別案も用
意。提案、別案を材料に話し合って、相手も自分も受け入れられる「着地点」を見つける。
例えば終了間際の頼み事をどうしてもやってほしいと言われたら、「事業所に連絡して次の
訪問先に遅れる事を伝えてもらう」など。
この表現方法は、職場や家族、友人とのコミュニケーションにも必要かもしれません。
おさらい : アサーティブな自己表現の特徴
・自分のことも相手のことも尊重する
・自分の正直な気持ちを相手が受け入れやすい表現で伝える
・相手にも率直に話すよう促す
・意見が食い違ったら話し合って納得できる着地点を見つける
利用者さまの事を一番に考えるのが先決ですが、アサーティブな自己表現を身に付けて利用者さまと自分の双方の事を大切にして、より良いサービスをご提供できるよう頑張っていきたいと思います。